住めばそれなり ごろ日和

黒猫とその飼い主(にゃおりん)のごろごろな暮らしをゆる~く発信

「月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!」

読みました。こんなにわくわくしながら本を手にしたのは久しぶりなような気がします。文庫本にしてはものすごく分厚い*1本でしたが、あっという間に読んでしまいました。
月の輝く夜に平安時代の貴族社会が舞台。短いけれどしっとりとせつない物語。いくつもの恋がでてくるけれどどの恋もしあわせな結末は迎えない。読み終わったとき、泣きたいけれど泣けない。 そんなお話。
氷室冴子といえば「なんて素敵にジャパネスク」が有名だと思います。平安朝コメディ*2でおもしろいけれど、わたしは特別好きというわけではない。吉野君(よしののきみ)のエピソードはお気に入りですが、主人公瑠璃姫が好きなタイプではないし(というより好きじゃない)。あと氷室さんの作品で平安物といえば「とりかへばや」が原作の「ざ・ちぇんじ!」と未完で終った「蒼の迷宮」でしょうか。「ざ・ちぇんじ!」はテンポがよくて好きです。「蒼の迷宮」はコメディじゃないのですが、いかんせん未完ですのでなんともいえない。で、この「月の輝く夜に」ですが、こういうのが読みたかったんです! 初出は1990年、残念なことに読み逃していたのが今回の出版で読むことができました。氷室さんの、こういう、コメディではない大人っぽい平安朝の物語をもっともっと読みたかったです。返す返すも残念。読み終わった後、田辺聖子の「不機嫌な恋人」という小説を思い出しました。あれもいろんな恋がでてきていたけど、どれもめでたしめでたしではなかったなあ。

「ざ・ちぇんじ!」上に書いてますが、原作は古典の「とりかへばや」です。男女の姉弟がいろんな事情で男女入れ替わって育てられ、そこから次々にひきおこされる騒動の数々。最後は無事に姉は姫に、弟は公達に戻ることができ、めでたしめでたし。にこにこと読めるお話。

「少女小説家を殺せ! 1」「少女小説家を殺せ! 2」
これは現代物です。1983年に出版された「少女小説家は死なない」というのがあるんですが、その続編。1985年に雑誌「コバルト」に掲載されていたそうですが読み逃してました。やー、彩子センセ、会いたかったわ。あいかわらずパワー炸裂。つくづく米子嬢がふびんです。

クララ白書 番外編 お姉さまたちの日々」
氷室さんの作品の中で文句なしにすきなのが「クララ白書」「アグネス白書」のシリーズ。札幌のミッション系女子校(中高一貫、自宅から通えない生徒のために寄宿舎あり)が舞台。その本編のスピンオフです。本編の主人公桂木しのぶのあこがれの上級生相沢虹子、加藤白路、高城濃子のお話。しーの(桂木しのぶ)から見ると友情に満ちた平和な学園生活だけど、虹子女史からするといろいろ困った問題も多く悩ましい日々もあったのです。まあ、しーのはしーのでいろいろ悩みがあったようですが。そういうものよね。虹子女史はその後どういう大人になったんだろうか。やっぱり政治家か経営者かな。


収録されている作品のジャンルに統一性がないとか本が厚すぎるとかいわれてるけど、氷室冴子ファンだったら買って損はないと思います。氷室さんは亡くなる前、30代の頃からもう新刊がほとんどでていない状態だったので、新しい本がでて読めることがなにより嬉しかった。今後できれば全集なんてだしていただきたいけどむずかしいかな。

月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫)

月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫)


不機嫌な恋人 (講談社文庫)

不機嫌な恋人 (講談社文庫)


少女小説家は死なない! (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

少女小説家は死なない! (集英社文庫―コバルト・シリーズ)


クララ白書 (集英社文庫―コバルトシリーズ 52C)

クララ白書 (集英社文庫―コバルトシリーズ 52C)


*1:3cm弱くらいある。

*2:話が進むにつれてコメディよりシリアスな恋愛物に変わっていきますが。